クッキングハウスからこんにちは No.101

目次(青字の記事を抜粋してあります)2005年4月18日発行

巻頭言「いつのまにかたくさんの出版物に囲まれていた」…1、2004年度を振り返って…2、動くクッキングハウス日記…5、新しいスタッフを紹介します…6、メンタルヘルス市民講座最終会報告…7、新しい仕事にチャレンジ…7、イベントのお知らせ…8、講演スケジュール…11、誌面にクッキングハウスが紹介されました…12、各地からありがとう…12

クッキングハウス会 2004年度の活動を振り返って
〜2005年度の活動への展望〜

<動くクッキングハウスとしての講演の倍増>

メンバーと一緒に各地の応援に出かける動くクッキングハウスが人気で、10月から3月までの半年間で41回。主催団体も多岐にわたっていました。家族、当事者、団体、精神保健福祉の職員の研修、一般市民向けのメンタルヘルス、学術集会、引きこもりや不登校の会、いのちの電話などのボランティア団体、等々。特に鹿児島市での300名規模の大きな講演やSSTの学術集会など、どこもクッキングハウスという小さな場が発信している文化に、明るさや前向きの姿勢に共感し、希望につながったと喜んでくれました。

これからも、求められる限り、私達の元気のパワーと優しさを届けにいきます。メンバー達も自分の思いを語ることで、自らの尊厳を回復し、当事者であることに誇りをもち、自分の中に社会を暮らしやすく変えていく力があることに気づいていくことでしょう。

心の相談でつながった家族や当事者が元気になった。心の相談も、なかなか予約がとりにくい一年でしたが、つながった方々は「ほっとして、安心感をもらいました。」「ここにくると、心が前向きになれます。」と表情が和んでいきます。メンバーのお茶とクッキーの接待も実に優しいのです。2005年度は、料金改訂がありますがクッキングハウスという小さな場の運営にご協力下さい。

<紹介会でのメンバーとのパートナーシップ>

毎月一回の紹介会には全国各地からのお客さまを迎えてメンバー達が大活躍。お客さまを歓迎しながら、自身の体験を語り、うたをうたい、ほろっと泣かせたり、思わず笑わせてしまったり。メンバーが人前で話をしてみるデビューのチャンスにもなっています。メンバーとのパートナーシップで一緒にやらないとうまくいかないプログラムになっています。 今年も、パートナーシップの心地良さを味わっていきたい。

<メンタルヘルス市民講座、大好評>

6回〜5回を1シリーズとして年に3回、行っている講座。立ち席がでたり、キャンセル待ちをする程の人気に。メンバー達の体験が、心の病気への理解度をぐっとアップしてくれています。メンバーの参加もぐんと増えて、まさに市民と共に学ぶ場になってきました。「学ぶことを大切にしていきたい。」クッキングハウスがずっと大事だと思いつづけてきたことが、ようやく、いい形になってきました。今年は、もっと充実した、もっと魅力ある、講座になるでしょう。

心の問題が若年化し、深刻になっています。若者の居場所がなく、家族も困りきっています。私達の、居場所づくりが各地に広がっていくことを願って、今年も、学びつづけていきましょう。

各所より〜2004年度活動報告&2005年度の計画〜

ふしぎなティールーム (第一クッキングハウス)

ケーキも講座も大好評!

市民講座・公開紹介会・家族SST・コンサートなどにたくさんのお客様が いらしてくださり、メンバーやスタッフは手作りのお菓子やアクセサリーを たくさん準備して、はりきって宣伝した効果があってか売上も前年度に比べて20%もアップすることができました。

日替わりケーキも、八丈島のあしたばを使ったケーキやシフォンケーキなど新しい素材やバリエーションが増えてきました。今年度も新メニューのケーキを作ったり、素敵なゲストをお呼びしてミニ講演会やコンサートなども企画しています。もちろん参加者みんなが元気になれると好評のメンタルヘルス市民講座も年3回行います。おいしいコーヒーとケーキを用意して皆様をお待ちしています。

メンバーが力をつけた一年間

さまざまな活動のあるティールームではいろいろな役割をメンバーが担い、なかでもメール便や公園清掃ではメンバーリーダーを中心にみんなが協力しあって仕事をし、ビーズグループでは親子ビーズ教室でメンバーが講師になるなど力を発揮しました。毎日のティータイムは自己表現、交流の場としていますが、今年度はさらに一日の感想や近況、仕事のアイディアなどを述べ合って充実した時間にしていきたいと思います。

これまでもこれからも安心できる居場所です

お互いに支えあうことの大切さを知っているメンバーだからこそ辛いメンバーの話をメンバー同士で聞きあう場面も多くみられます。メンバーにとってたとえ具合がよくない状態であっても休みにきたり、相談できる居場所としての面を大切にしてきました。また相談のお客様がいらした時などは丁寧に気持ちよく接待してくれるメンバーに、安心したり励まされたりする方も多く、これからもゆっくりここちよく過ごせるティールームにしていきたいです。

レストランクッキングハウス (第二クッキングハウス)

NHK生活ほっとモーニングの反響で千客万来!

昨年度はNHKの放送後たくさんのお客様が来店され、嬉しい悲鳴をあげる日々でした。遠方からワラにもすがる思いでいらっしゃるお客様が、ほっと一息つけるように、看板娘のメンバー達がとても上手に接客してくれました。「カウンセリング付きレストラン」として、皆さんに元気になっていただけるように心がけました。また、各地から送って下さる地方の特産品や旬の食材をメニューに取り入れて、季節感のある献立になるよう工夫しました。ほんとにたくさんのご寄付をありがとうございました。

今年度も引き続き「カウンセリング付不思議なレストラン」として、活動していきたいと思います。

毎月9のつく日は「平和ランチの日」

4月30日(土)の憲法フォークジャンボリー(東京上野水上音楽堂)では、おいしい炊き込みご飯と玄米赤飯&コーヒーのお店を出します。そして、コンサートの主催者「連根の会」と「憲法9条」にちなんで、毎月9のつく日(9・19・29日)は蓮根料理を一品いれた「平和ランチ」を作って、皆さんのお越しをお待ちしています。おいしい蓮根料理のレシピをご存知の方は、ぜひメールやFAX等でお知らせください。また、蓮根や鳩やPEACEのPの字や数字の9をモチーフにした、素敵なバンダナをオリジナルでデザインして販売する準備を進めています。メンバーもスタッフもそしてみなさんも、笑顔で過ごせる平和な時間がいつまでも続くよう願いをこめて、これからも活動していきたいと思います。

クッキングスター(第三クッキングハウス)

夕食会で練習をして、調理実習の講師ができた!

昨年度もメンバーの自由な参加を大切に、火曜から土曜の毎日の夕食会を行ってきました。ちょうふだぞう(近くの知的障害者の支援施設)の調理実習で月二回、講師をする仕事もこの2年間で定着。夕食会で予行練習をし力をつけました。調理実習のための練習は、ほどよい緊張感があり、料理の流れをメンバーが把握することに力を注いでいるので、料理をしっかり覚えることができます。

今年度はこの練習をいかして、「チャレンジ料理の日」を計画し、メンバーが料理を覚えられる工夫をしたいと思います。

また夕食会をより市民の方との交流の場にしたいと思います。一人暮らしの市民の方、ホッとした夕食の時間を持ちたい方、温かな雰囲気の中でみんなで一緒に食べませんか?ぜひスターの夕食会にご参加下さい!

ピアサポートの輪が広がった!(SSTと何でもミーティングの充実)

当事者が互いに励ましあって回復していく仲間の輪が、日々の活動の中でたくさん見られた一年でした。
毎週火曜日のSST、月に一回の家族のためのSST、前田ケイ先生のスペシャルSSTは、文化学習の場として充実し、たくさんの見学者が学びに来てくれました。メンバーが自然にのびのびと自らの課題を出す姿はすばらしいです。

毎週金曜日の夜に行われる「何でもミーティング」も、参加者が一人一人、安心して気持ちを語れる場として定着しました。相手の気持ちを聞き、自分の経験からアドバイスもして…すでにメンバーはピアカウンセリングの力をつけているなあと実感できます。今年度はよりピアサポートが深まるよう、司会者をメンバーとスタッフが交代でやっていくことを提案するなど、工夫していきたいと思っています。

毎月第4土曜日は、健康教室&居酒屋ディ

健康教室を月に1回開いて2年がたちました。健康管理についての正しい知識を学ぶとともに、今できている生活上の工夫を出し合い、メンバーと共に学びあえる場にしてきました。今年度も新しく計画をたてています。心の病、精神的な問題に注意を置くために見逃してしまいがちな、身体的な健康管理も学びましょう。外部からスペシャルゲストとして精神科医や近隣の歯科医にもお越しこし頂き、充実させたいと思います。

また、今年度の居酒屋デーは、健康教室とセットで計画しています。土曜日の午後から夜を、ぜひクッキングスターでお過ごし下さい!

動くクッキングハウス日記

今年度より地方公演旅日記は「動くクッキングハウス日記」としてお届けします。

動くクッキングハウスとして、メンバー達と一緒に出かける講演の旅に、(SSTのデモストレーション)という依頼が増えてきました。いつもクッキングハウスで、生き生きと楽しく学んでいる SSTを新鮮なそのまま、出前するというものです。

2月17日は、京都ほのぼのSST実行委員会の小嶋さん達の主催で、ひとまち交流館は300名の満員御礼。

斉藤敏朗くんと池田和子さん、丸山朋均くんの3人が、病気の辛かった時代、クッキングハウスとの出会い、SSTを練習する中で仲間の体験に共感したり、自分自身の人間関係でもっとうまくなりたいと願っていたことを課題に出し、仲間に応援してもらい、自信がついていったプロセスを自分の言葉で明るく語りました。

3人が、お互いの話を聴く中で、「次の時はもっとゆっくり語ろう」、「話の内容をもっとわかりやすく、簡潔にまとめよう」、「最初は会場のみなさんに京都の印象を語って謝辞を述べた方がいい」それぞれ学び合っていることがほほえましい光景でした。

講演の前に、「4人のチームワークで、ベストを尽くしてやろうね」と、いつも私は声をかけます。これで気持ちは適度な緊張感と、一緒にやるのだから大丈夫という落ち着きがでてきます。

「不思議なレストラン」の作曲者で京都在住の山本忠生さんもアコーデオンをもってかけつけて下さり、もうすっかり私達の校歌(?)になっている不思議なレストランの合唱。会場は、あたたかく優しい空気に包まれ、泣いている人、笑顔の人、真剣な目の人がいっぱいでした。

いつもクッキングハウスに足を運び、今回の講演を主催してくださった小嶋佳余さんは、以下のようなレポートをSSTニューズレター第17巻1号に寄せて下さいました。

「(中略)アンケート回収率も来場者の半数近く、しかもそのうち半数以上は今後の連絡先を記入されるなど、おかげさまで好評をいただけましたことを感謝しております。

当日の感想の中から一部をご紹介すると、「温もりを感じた」「SSTを見て、お互いの良いところを伝えることの重要性を感じた」「皆が自分に素直に行動して、仲間と一緒に楽しみながら生きている姿が心に残りました」「感動して涙が出ました」「SSTの実際の場面が見れて良かったです」「ぜひうちでもSSTをやってゆきたい」など。その後お宅に帰られてから、家族でSSTを試してみて、なかなかよさそうというご家族の方もいらっしゃいました。」

続いて19日はSST経験交流ワークショップin大阪でのSSTデモンストレーションです。「生活支援センター・作業所のSST」の分科会で、58名の参加者の大きな円陣で、ウォーミングアップは先ず「チャームポイントで自己紹介」、「お互いのいいところをほめあう」、そしてプレゼントゲーム。誕生日の人や今元気になりたい人のところに行き、「東京までのチケットを差し上げますから、クッキングハウスに来て下さい」と心からのプレゼントに、会場はあたたかな輪になりました。

1年前のNHKの放送のSSTの場面を見てもらう時、斉藤君は最初耳をふさいだり、目を伏せていましたが、もう逃げようがないと観念してテレビを見たら、一年後の今の自分は明らかに声も大きくなり、明るく前向きに変化していることに気づいたそうです。初めて会う参加者たちも一年間の成長に驚き、喜んで下さいました。

当日の様子をレポートして下さった川村学園女子大学の梅澤嘉一郎さんの文章からは、どんなに生き生きとした発表になったか伝わってきます。

「(中略)3人の当事者からは、共通して、SSTが有効な生きた学習であり、地域で生活する力と自信につながったことが報告された。

娘さんの自立を願って自作の歌を披露されたIさん、涙する世界から今はいい人生を送っているとの絵の上手なSさん。ささいなことで死にたくなる自分から脱皮されたM君とそれぞれ感動的な報告がなされた。

松浦先生からは、地域の精神障害者をサポートして18年になり、80人が利用するクッキングハウスの紹介がなされ、現在一人で暮らせるメンバーが26名となり、16人が就労するようになったこと。これもSSTにより@問題解決能力が増し、A傾聴し共感できるようになった自分に成長を感じB自分の気持ちを私メッセージとして伝えられるようになりC仲間を大切にする暮らし方が身につきD回復力が増し自分のペースで前向きに生きられるようになりE学べば学ぶほど奥深く、スタッフにとっても援助の幅が広がったという効果が挙げられた。

今後はメンバー達がリーダーとなり、ピアサポートとしてSSTが活用できるのではとの抱負が述べられた。

後半の参加者を交えてのSSTの実際練習の成果として、「明日仲間にあえるさ」とか「いいスタートをきっているよ」等を自分で語る「自己会話」の必要性が明らかにされた。

本分科会に参加し、SSTが地域支援プログラムとして生活支援するスタッフだけでなく広く様々な場面でも応用できる心強い支援技術であることが痛感させられた。」私たちはSSTの効果を伝えるメッセンジャーです。
(松浦幸子)

新しいスタッフを紹介します

クッキングスターのスタッフになりました、田村陽子です。私とクッキングハウスの出会いは、2000年5月、松浦さんが明治学院大学の新入生歓迎キャンプに講師として来てくださった時から始まります。それまでの作業所のイメージが一変した瞬間でした。

翌年、学校からの実習先にクッキングハウスを希望し、メンバーの持つ力に感動した私は、実習終了後もボランティアとしてお手伝いをさせていただく機会に恵まれました。これからもクッキングハウスの一員として、地域でともに暮らすことを応援し、文化を発信するお手伝いをしたいと思っています。

メンバーと共につくり、市民と学び希望を届けた
メンタルへルス市民講座最終回

3月16日、メンタルヘルス市民講座の第五回目がありました。テーマは、「日本の精神保健福祉の現状(使える社会資源)と世界の動向」。今回も、30名近くのお客様とメンバーも10名ほど参加。いすがいっぱいに並べられた会場は、とてもにぎやかでした。

「精神科医療の閉鎖性と社会的入院の問題」では、日本には、精神の障害を持った人が、259万人。日本のストレスの多い社会の中で、増加傾向にあること。そのうち7・2万人は、社会的入院といわれる現状。海外との比較、入院制度について等など。「入院は、悪いことではないのです。「悪いこと」と思うことが、偏見につながってしまうのでは。必要なときは、入院することが大切ですね。」と松浦さん。

次に、メンバーが、自分自身の入院の体験について話をしてくれました。「けんかをふっかけられ、保護室に入れられたことがあります。8畳ぐらいの広さで、まわりはすべてコンクリート。扉はドアのノブがなく、和式トイレがありますが、流すところはありません。おむつをさせられたのが屈辱的でした」「18歳で入院し、人生は終わったと思いました。手紙を開封されたり、外泊から帰ってくると荷物をチェックされたり、プライバシーのなさが一番いやでした」メンバーや松浦さんの話を聴きながら、「入院」が、単なる抽象的な「制度」ではなく、生きた人間が利用するものであること。だからこそ、当事者がより安心して利用でき、又、より治療効果の高いものなるためにも、当事者の側から、現場から、丁寧に、そしてあきらめることなく語っていくことの大切さを感じました。

「地域生活のための福祉的サポートシステム」では、通院医療費公費負担制度や精神福祉手帳、社会復帰施設や、就労支援などの福祉サービスを紹介。「(年金の申請などで)役所が冷たくてもあきらめないで、つっこんで聞くことが大切です」 「わが国の精神保健福祉の歴史」では、明治時代の精神病者監護法から現在の精神保健福祉法までの、当事者が人権を取り戻していく、長い長い歴史をふりかえりました。

最後は、メンバーそれぞれが、「私の夢・希望」を語ってくれました。「つつましくても、いい人を見つけて幸せになりたいです」「こどもが巣立ったら一人暮らしができるようになりたいです」等等。最終回が、このようなひとりひとりの「希望」を語って終わったことは、このメンタルヘルス市民講座が「メンバーと共につくり」「市民と学ぶ」と同時に、「希望を届ける」講座であることを象徴しているように思い、嬉しく思いました。
(井出歩)

新しい仕事にチャレンジ 
〜JCT(Job Creation Team)の活動開始!〜

2005年になってから、新しい仕事を始めるチャンスに恵まれました。メンタルヘルス市民講座に参加したことがきっかけで、クッキングハウスとの交流が始まった市民の片桐さんが、クッキングハウスならではの雰囲気や、メンバーの力を生かして新しい仕事をして社会に貢献できたらいいね。と株式会社早稲田環境研究所の小野田弘士社長と引き合わせて下さったのです。

今回私達が頂いた仕事は、求人広告のちらしづくりや会社で使う教育資料をつくるという仕事でした。イラストを書く人、もとになる資料を要約して紙面を作る人、それぞれのできることをだしあって、メンバーが力を合わせて無事つくることができました。

仕事を通じて感じたのは、メンバーの知らなかった可能性がまだまだたくさんあるんだということでした。文章を要約すること、パソコンでそれをわかりやすいように形にしていくこと。内容にぴったりとくるイラストを描くこと。どれをとっても、とても上手なのです。

クッキングハウスのペースや、良さを活かしながら、今後も社会とつながっていく新しい仕事をメンバーと共に作りたいそんな意味を込めて、この仕事のグループの名前をJCT(Job Creation Team)と名付けました。これからの活動が楽しみです。
(林由佳里)


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