クッキングハウスからこんにちは No.140

目次(青字の記事を抜粋してあります)2011年10月4日発行

目次
巻頭言:祝島と福島と私達と、心つないで…1、「ミツバチの羽音と地球の回転」上映会…2~3、アレクセイと泉…3、ラオスへの旅…5~6、ホームヘルプ講座…8、うたづくり…9、メンタルヘルス市民大学、文化学習企画、各地からありがとう他・・・10~12
、…4~5、…5~6、、文化学習企画、各地からありがとう他・・・6~12


「ミツバチの羽音と地球の回転」
上映会&鎌仲ひとみ監督講演会レポート

〈心つないで〉


上映会も無事に始まり、その間に鎌仲ひとみ監督を駅まで迎えに行きます。鎌仲さんから「みなさんに見ていただきたくて本も持っていきますね」と連絡が入りました。鎌仲さんに分かるように、ミツバチのチラシをかざし、調布駅の改札口で、今か今かと到着を待ちました。顔が見えた時には会えたことが嬉しくて、すぐに向かいましょう!という張り切った気持ちになり、会場までご一緒しました。講演会では、「原発事故によって孤立し、苦しんでいる人達が沢山いる中、私たちが、どうやってつながっていけるかがこれからの課題。つながりを考えることが大事」と鎌仲さん。お話を聞いた方からも、沢山の感想が寄せられました。鎌仲さんが持ってきてくださった書籍はクッキングハウスで買い取り、あっと言う間に完売。私も買いたかった!嬉しい悲鳴でした。(有光梨紗)

〈感想文から〉
*原発はこわいかもしれないが、必要だから・クリーンだから・経済発展のためにはなくてはならない、などと思ってきた自分の世間知らず・無知さにはずかしくなります。どんなに安全だといわれても、原発はNO!

*映画ではスウェーデンのことを取り上げたシーンから、波力や温泉などいろいろな選択肢があるのだという、眠っている可能性について知ることができた。講演では日本の問題の背景について、具体的に詳しい説明が受けられて、よく理解できた。自分の身近な現実の問題として感じられた。今まで直観的に良くないとだけ思っていた核のことを、今日流れを追って理解が深まった上できちんと向き合えるきっかけになれて、とても良かった。

*祝島の地に足が着いた生活をしている住民と、口先だけの中電とが対照的に思えました。人間はいつまでエネルギーを消費し続け、目先の便利さを追い続けるのか?それで人間は幸せになれたのでしょうか?考えさせられる映画でした。

*島の人々の何気ない暮らしをしっかりととらえていたのが印象的でした。スウェーデンの事例と比較することで、祝島の普遍的な生活を世界から見るということができたと思います。小さな生活や小さな交流が、自然や宇宙を貫く真理につながっている可能性を感じました。

*映画見たのは2度目ですが、改めていい映画だと思いました。前回は何気なく見ていたシーンで泣けたりもしました。特にたかし君が中電の船に向かって思いを伝えているシーンで、なぜかわかりませんが涙がやたらと。

*映画は2010年3月で終わっていましたが、その後東日本大震災、続けて福島原発の問題など起こり、祝島の人々は今までがんばってきたことが正しかったし、鎌仲ひとみさんの話を聞き、近隣の市町村などにも協力を得られるようになったことなど伺い、その他にも知らなかった話を沢山聞けて、自分の意識も変わりました。

*3回目です。見れば見る程メッセージの深さを感じます。これからも知人・友人に勧めたい映画です。「正しいことは何か」勇気をもらえます。
鎌仲さんのお話を直接うかがえる機会に恵まれて、心より感謝しています。今ここで私にできることを行動していくことが、ミツバチの羽音よりもっと小さいかもしれなくても、何かを変えていく大きな力になると確信しました。

〈特別メニュー〉
祝島から干しダコとひじきとびわ茶を取り寄せ、干しダコはタコ飯に、ひじきは油揚げと人参を加えて煮物にしました。祝島の海と太陽と浜風とおばちゃんたちの笑顔が作り出した食材そのものが最高の調味料です。「さっき映画で見たひじきがこれなのね!!」と感激の声がきかれました。共催の織座農園から届いた野菜たちは、ズッキーニ・ナス・玉ねぎ・トマトのコラボレーションの「鶏肉ラタトィユ風煮」に変身。味の決め手は織座の完熟トマトです!キュウリの1本漬け、枝豆、生トマト(もちろんどれも織座農園より)、クッキングハウス定番のデザート「梅酒寒天」、これらすべてがお皿に盛られ、とても賑やかな一皿になりました。
今回のワンプレート料理は自然のエネルギーに満ち溢れ、力強くも優しい味で私たちの胃袋を幸せに満たしてくれました。いつでもどこでもこんな最高においしい食事ができるよう、海を山を地球を大事にしていきたいと強く思いました。(竹内高子)

〈ハッピーアワーで〉
講演のあと、鎌仲さんもハッピーアワーの夕食を一緒に食べて下さった。「クッキングハウスの自然でおいしい食事は、免疫力を上げてくれますね!」と絶賛し、「ああ、癒される!!」とベンチに横になりひと眠り。
3.11以降寝る間もない忙しい日々だった鎌仲ひとみさんに、私達の心の居場所でちょっとほっとしてもらえたことが嬉しい。これからもいっぱい活躍してほしいから。
(松浦幸子)


アレクセイと泉 DVD上映会 ~みんなで観れて良かった~
「ミツバチの羽音と地球の回転」の上映会に向けて、同じく原発をめぐるドキュメンタリー映画、本橋成一監督の「アレクセイと泉」の上映会をスターで行いました。
 チェルノブイリの原発事故によって、放射能汚染を受けながらも、泉からは放射能が検出されないブジシチェ村。その泉を頼りに暮らす、村のお年寄りと青年アレクセイのドキュメンタリーです。
 20名を超える人が集まって下さり、普段は大きいと思っているテレビが小さく見えるほど、みんなでのぞきこむようにして観ました。
とても放射能に汚染されているとは思えない美しい景色と、移住していく人がほとんどで地図上にもなくなってしまった村に、生き続けることを決めた村人の静かで豊かな暮らしぶりに、気付くとこちらが癒されていました。
観終わった後は、映画の中に何度もでてくる「じゃがいも」を丸ごとゆでてティータイム。久しぶりに食べたら素朴でおいしく、大好評でした。
シェアリングでは、村の生活の豊かさのこと、泉から放射能が出ない不思議さ、放射能の恐しさなど、それぞれの思いを語り合いました。
反原発と一言も言っていないのに、しっかりと私たちに語りかけてくれる映画。また皆で観たいねと話しています。
(林由佳里)




<旅スペシャルレポート ラオス>
貧しくても、幸せ。 分かち合いの国に旅して

2011年8月12日~18日、ラオスを府中たまりばユネスコクラブの仲間と旅した。私達ができる女性の自立支援を探すための旅である。ラオスはタイ、カンボジア、ベトナム、中国、ミャンマーの5カ国に囲まれた日本の本州ほどの広さの国。国土の70%が高原や山岳地帯で、メコン川が人々の暮らしと共に1900kmにわたって流れている。
エネルギーは水力発電で、ベトナムや中国に輸出するほど豊富で、外貨収入で最も大きい割合を占めているという。もちろん原発などない!
〈朝の托鉢(たくはつ)風景〉
仏教が文化として人々の生活の中に深く浸透しており、どこに行っても穏やかな微笑みの表情で迎えていただき、とてもほっとする。分かち合って暮らしていることが伝わってきたのは早朝の“托鉢(・・)(たくはつ)”風景だ。貧しい家の子ども達は10才から出家する。オレンジ色の袈裟(けさ)を着て、長い行列をつくり、街を托鉢して回る。街の人々が道端に座り、蒸したもち米を一口ずつ供える。坊さん達は一日に1~2食いただいた食料だけで生活しているという。とても体の小さい坊さんが多い。でも、穏やかな静かな表情で歩いている。たくさんいただいたご飯は別のかごに入れ、学校の貧しい子ども達の給食になるのだという。一年中、毎日どんな天気の日もこの托鉢は続けられる。人々は分かち合って、助け合って暮らしている。そのことが特別なことではなく、全く自然な営みとして、生活の一部となっている。ラオスは経済では世界の貧しい国にランクされているが、決して貧しくはない。心豊かな国だった。

〈ホワイホン職業訓練センターで   伝統の染と機織りを〉
田舎のまだ恵まれていない女性や、障害のある人が、自立して職業を身につけ、自分の力で生計を立てていけるように、伝統的な自然染色と機織り、ミシンの縫製技術を身につけるための職業訓練センターを見学、体験実習した。
首都ビエンチャンの郊外、ホワイホンの豊かな緑の中にホワイホン職業訓練センターがある。
1999年から432名も研修生を育成したという。まだあどけない少女のような母親が、子どもをそばに遊ばせながら、機を織ったり、ミシンをかけていた。子ども達は母親のそばでとても安心なのか、泣き声が聞こえない。母親のイライラした怒り声も聞こえない。なんだか楽園のようだ。
私達もマフラーを植物で染めたり、機織りを教えてもらった。言葉は通じなくても、手仕事だからやってみせてくれることを真似ていけばいい。2時間程でやっと20cmほどの織りができた。手仕事には手間がかかることがよくわかった。

昼食もごちそうになる。メコン川から採れた鯉のような色の魚の塩焼き、竹の子スープ(辛いが実においしい)、腸詰めキャベツ、空(くう)芯(しん)菜(さい)・キャベツのゆでたもの。もち米が常食、指で丸めながら食べる。甘みがあっておいしい。ラオスの人々が常に食べている昼食を食べながら、どこかクッキングハウスの紹介会に似ているなと思った。
説明してもらったり、体験したり、一日を過ごして21ドル。そうだ、クッキングハウスの紹介会に1つワークショップを加えたら、ホワイホンの職業訓練センターと同じになると発見。
どこの国に行っても、それぞれのペースで自立をめざして活動している人々がいる居場所があるとわかり、ラオスの女性達にぐんと親しみを感じ、友達になりたいと思った。ホワイホンのセンターの女性達が染めて織ったマフラーは自然で、素朴で、とてもいい。クッキングハウスでも展示即売会をしたら連帯の気持を表現できるかもしれない。
(松浦幸子)
12/17(土)ラオス報告会   ゲスト・吉岡淳(カフェスロー代表) 
時間:1:30~3:30 場所:クッキングスター  ティータイム付500円

<動くクッキングハウス>
ホームヘルパー養成研修講座in調布

~ホームヘルプサービスは地域で暮らすための心強い味方~
ここ数年、調布市ゆうあい福祉公社のホームヘルパー養成研修講座に、ホームヘルプサービスを利用しているメンバーと共に招かれている。チームは池田和子さんと前沢真貴子さんと私。毎年好評で、集中して聴いて下さり、クッキングハウスの活動にも関心を持っていただけて嬉しい。
今回は特に2人ともうまく気持を伝えることができたし、参加者にきちんと受け止めてもらえた感触が伝わってきた。心の病気からくる生活のしづらさを理解してもらい、ホームヘルプサービスが地域で自立して暮らすための心強い味方であることを話す。回復につながっていくサポートのポイントとして、
①可能性を広げ、自信をつけるために、今できていることを具体的にほめること
②小さなステップに区切って教えると範囲が見えるので、あせらないでやれること
③指示したり、説教したりするのではなく、サイド・バイ・サイド(横に座る関係)の姿勢で付き合うと、心に負担がかからない
④「私メッセージ」でコミュニケーションすると信頼関係ができる。人間関係が楽になることが回復につながる
⑤少しだけでいいので、今の気分を聞いてほしい。それだけで楽になる
これらのことをSSTのロールプレイで伝えていったので、受講者も参加できるいきいきした講座になった。池田さんも前沢さんも、うまく役割をとってくれる。
<池田和子さん>
ひとりで暮らしていて、今必要なのは、ちょっと話を聞いてもらうことです。初めの10分か15分、私の気持を楽にするように話を聞いてくれます。もう、私の顔を見ただけで、調子が悪いことをわかってくれます。そして、「何を食べたいですか?」と聞いてくれ、チャーハンや煮物やスープなどを何食分か作ってくれます。ヘルパーさんが来てくれているので、この10年、私は地域で再発せずに暮らしてきました。ヘルパーさんに「何を恩返ししたらいいでしょう?」と言ったら、「「和子さんが元気になってくれることが一番嬉しい恩返しですよ」と言われました。
<前沢真貴子さん>
回復していくために、家族と程よい距離をとろうと決意して、ひとりで暮らして10年たちます。ヘルパーさんが来てくれる週一回2時間はとても大切な時間です。掃除全般をしてもらえるだけで、ひとりで暮らす負担がずいぶん軽くなります。自分の希望する人生が送れます。感謝の気持で、玄関まで見送りしています。3月11日の地震の時、ゆうあいのヘルパーステーションから「大丈夫ですか?」と電話をいただき、嬉しかったです。そんな声かけをしてもらえるだけで、孤立しないですみます。

二人とも、病気をしてつらかった年月があって、今がある。それらを乗り越えてきた体験を語りながら、地域で自立して暮らすために、ヘルパーのサポートがちょっと必要なわけを語ってくれた。三人でうたう「不思議なレストラン」を涙ぐんで聞いてくれたヘルパーさん志願の方々が、すぐにランチを食べに来てくれて嬉しかった。(松浦幸子)

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