クッキングハウスからこんにちは No.155

目次(青字の記事を抜粋してあります)2014年4月14日発行


もくじ
巻頭言:ティールームリニューアル&原画展…1、特集・リニューアルオープンまでの道のり…2、マッシー連載スペシャル…6、家族SST報告…8、動くin長野県,仲間紹介…9、文化学習企画…10、李香蘭上映会,各地からありがとう,料理例,お知らせ,お祝い・賛助会お礼…11、総会のご案内,動く,賛助会お願い…12



…特   集…
ティールーム リニューアルオープンまでの道のり
     
     

〈引っ越しまで  27年分の荷物がトラック3台分〉

2013年12月27日、新ティールームの契約を終えてから毎日、引っ越しの準備が果てもなく続きました。なにしろ27年分の荷物が捨てないまま大切に保管されていたのです。ステージの下は、すべて収納引出しに、特別に作ってもらってあったのですが、その中の書類は人間シュレッダーで、メンバー達やボランティアが破いても破いても終わる果てが見えないのでした。本・CD・雑貨小物類も、こんな狭い部屋によく取っておいたものだとあきれる位。メンバーの岡村さんや大谷さんが、せっせとブックオフに持って行っては売ってきてくれました。
そして思いついたのが、階段の下に「ご自由にお持ち帰りください」コーナーを作ったことです。カップや皿、布地など、思いがけないものも市民の方々が持って行ってくれましたので、少し欲も出て、カンパ箱も用意しました。
〈小谷村で使ってもらえて、ほっとする〉
大事に使ってきた、溝口さんに作ってもらったテーブルやベンチ、丸いちゃぶ台。本棚や食器棚、事務机や書類棚。そしてSSTの学びに欠かせなかった、コピー付き白板。問題解決のためのメンバー達の知恵や練習したことの良かったところをすぐに書き留めて、コピーして手渡すことで、心強い応援を感じて、現実の場で実行できるのでした。これらの、私達の大切な財産だったものを、小谷村の高橋きよみさんが、カモミールの仲間の学びや雪割草でも使ってくれることになりました。
3月17日(月)、トラックに満載して、まだ雪がいっぱいの小谷村に出発。「小谷村で使ってもらえることになって、本当に安心しました。」と、ベンチを愛用していた池田和子さんの、ほっとした顔。
〈二台目のトラック〉
3月20日(木)、どうしても使えない荷物は、産業廃棄物に。トラックが一台やってきました。段々と少なくなった家具の中、ダンボールをテーブルや台に組み立てて、いつものようにクッキーを焼き、みんなのティータイムをして、気持ちを語り合っているところが、クッキングハウスらしい。どんな状況にあっても、「おいしいね」から元気になる場なのです。
〈三台目のトラックは、3月31日(月)、新ティールームへ引っ越し〉
最小限少なくて、これだけは持って行くと決めた調理台、冷蔵庫、食器棚だったはずなのに、やはり、トラック一台満載となりました。18:00には、古いティールームの明け渡し。まだ改装工事の電気設備の最後をやっているところに、引っ越し荷物が降ろされていきます。長野県・飯綱高原の、さきくさ工房の溝口さんも、国産の杉材を使ってメンバー達のカバンを入れられる大きな棚を完成させて到着。組み立てをやっています。同時に3つの作業が重なって、大活況です。大きな混乱にならなかったのは、建築士の大澤さんが交通整理ならぬ監督をしてくれていたからでした。
〈古い木のテーブルがちょっとスリムになってよみがえった〉
新しい場は、狭くなるので、27年前に特別に頼んでつくってもらったカラマツの木のテーブルは、どうなるのだろう、持って行けなくなるのでは、と、心配しましたが、大澤さんが、一人ずつ座るための面積まで計算してくれて、幅80cmに縮小すれば大丈夫とわかりました。溝口さんが、テーブルをきれいにしてニスも新しい部屋に合わせて塗り直し、スリムになった古い木のテーブルを届けてくれました。座ってみると、相手との距離がちょうど良くて、新しい部屋になじんで、落ち着くのです。
引っ越して翌日、池田和子さんや大野さんが、このテーブルで静かにクッキーのシール貼りをやっている姿が、全くいつものようで、なんと自然な仕事風景。古い木のテーブルさんが、これからも私達の居場所を支えてくれることでしょう。オープニングの日には“古い木のテーブル”をうたいましょう、と、うたの練習にも熱が入りました。

〈建築士さんとの出会い 3月末までに完成させてください〉
2014年1月5日(日)…3月31日にはティールームを明け渡して引っ越すので、新しい場の改装工事を完成させて欲しいという注文は、実は建築業界にとっては大変なことだったらしい。決算期や消費税増税前の駆け込み需要もあり、新しい緊急の仕事を引き受けることそのものが困難。
コバリン(株)の山田大聖部長が、正月返上で現場を見に来てくれる。工事は太平ビルサービス(株)の建築士・大澤茂さんが引き受けてくださることになった。現在より狭い場所に、最小限に必要な荷物を運び込めるのかを考えながら設計図を作成。作業動線を辿りながら、必要な面積を割り出して、流し台やガス台の大きさや高さを決めていく、本当にち密な仕事だ。
一つ一つの設計図が出来上がると、私たちに、これでスムーズに活動できるかどうかを確かめてくれた。一緒に作り上げてきた満足感が得られるので、何よりも大澤さんの基本姿勢に感心する。こうして設計図が出来上がり、2月28日(金)、工事請負契約書に署名。
〈新たな難問も解決
 ここに難問が出てきた。消防法の特定用途に、クッキングハウスの障害者自立支援事業が該当するので、3階建ての山富ビル全世帯に新しい自動火災報知機を設置しなければ、ティールームはオープンできないという。オーナーの山本さんに事情を伝え、全世帯に了解を頂く。消防署の計画書提出・許可も、大澤さんが奔走して下さり、なんとか自動火災報知機を建物全体に取り付けることができた。この難問をクリアして、ようやく解体工事に入る。
 3月5日(水)、2つの部屋を仕切る壁の半分が抜かれた。部屋が広くなり、明るくなった。本当に改装工事が始まったのだ。左官屋さんが来て、抜いた壁をきれいにし、ギリシア神殿のような丸味の柱になる。これで品のある部屋のデザインになった。ここは大澤さんの最もこだわったところだという。
 次に大工さんの仕事。事務所との新しい仕切りや厨房とショップの仕切りもでき、全体の間取りがはっきりしてくる。床のデコボコが平らになり、床が貼られていく。
 3月15日(土)、腰板のタイル張りが完成。野菜の飾りタイルが、所々にはめ込まれ、オーガニックな感じが出て、とてもいい。職人さんがタイル地を張り、定着させている仕事は、芸術作品の制作場面を見ているようで美しい。

〈私たちにできることは、美味しいご飯を食べてもらうこと〉
一日も欠かさず現場に来てくれる大澤さん。どこがうまくいかなくても、完成に至らない。チームプレイをしっかりとやって、仕事をつなげていく職人さん達。
私たちにできることは、おいしいご飯を食べてもらうこと。ランチが出来上がると、メンバーの木村さんやあい子さんが、“お食事をどうぞ~”と呼びに行く。食べに来てくださるととても嬉しく、いつも予約席をつくっておいた。コーヒーとおやつも、メンバー達がせっせと運んでくれた。私たちの新しい場をつくってもらっている感謝の気持ちを少しでも伝えたかった。
タイル職人さんが、クッキーが美味しかったからと、5千円札をポケットから出して下さる。「えっ、ひと袋200円だから、25袋にもなりますよ!」と、私が驚いて叫ぶと、「孫がいっぱいいるから、いいんだよ」と、実におおらかだ。「開店前に買ってくれて、ありがとうございます」、私たちの活動を、わかってもらえた嬉しさを噛み締めた一場面だった。
厨房設備が次々と入れられていく。流し台も働きやすい高さと奥行になった。新しいオーブンが2台入る。ドアが付き、ガラスが入る。杉材を使った引き戸が入ったら、すっかり落ち着いた部屋になった。全てが職人さんたちの丁寧な仕事。小さい場で、一見目立たないが、一つ一つ工夫がこらされている。
3月31日の引越しの日を迎える。荷物が運ばれ、ティールームは何もない部屋になった。用地課の斉藤さんが来て、退去完了の写真を撮る。「これで手続き終了です。もう新しい方にだけ向かってやっていってください」。
夕方5時、大家さんの代理に鍵を渡し、明け渡し。スタッフ達みんなで立ち会い、記念写真。今朝までメンバーたちと気分調べをし、体操もしていた場なのに、もう何の荷物もない。ノイさんの絵も田邊順一さんの写真もない。ここで過ごした年月のことを思う。出来上がった新しい場で、クッキングハウスの歴史をみんなで刻んでいこう。あったかい心の居場所をつくっていこう。

〈さあ、前に向かって〉
4月1日(火)、工事完了。
消防設備完了のサインをする。さあこれからリニューアルパーティーの打ち合わせ準備だ。
4月6日(日)、パーティー前日。ティールームのスタッフ歩さんと原田さんはパーティー料理の材料買い出しと下準備。原田さんは秋田でイタリア料理店を営むお父さんから伝授したキッシュやオードブル(ピンチョス・カナッペ)を作る。サンドイッチ用のパンの山を見て、こんなに食べるの、と、びっくり。パーティー会場は2会場になる。お客様用とメンバーのパーティー60人分作るのだ。
キミ子プランドゥの松本一郎さんが、息子の健太くんをアシスタントに、作品の搬入と展示をする。ハローお仕事ルンルンかるたは、5枚組みパネル9枚になり、パネルの下に字札もついている。明るくて爽やかな絵で、部屋全体があったかくて、やさしさに満ちてくる。ティールームだけでは張り切れず、レストランにも展示。レストランの白い壁が、ぐんと明るくなった。絵の持つ元気パワーに感動する。
次に、キミ子方式で絵を描く仲間たちの作品展示。丁寧に描かれた花や野菜や雑草や魚の絵を眺めていると、心が穏やかに平和になってくる。これらの作品を絵葉書にして、一枚100円でカンパしていただき、東北復興支援を3.11以来、続けている。クッキングハウスの場を使って頂けることで協力したい。一枚の絵が、生きる希望につながってくれますように。

〈いよいよオープニングパーティー〉
4月7日(月)当日、快晴。春らしい素晴らしい天気だ。レストランでは、サンドイッチ作り、オードブル作り。スターではケーキの飾りつけ。ケーキは、これからティールームの定番ケーキとなるであろう、チーズケーキと、しょうがのシフォンケーキを試食して頂くことにする。新ティールームの会場づくりをしていると、次々とお花が届く。大澤さんの所属する太平ビルサービス(株)から二段飾りのカサブランカや極楽鳥花の豪華なお花。コバリン(株)からの春のバラの花、オーナーの山本様、小原歯科医院、原田蕎麦屋さん、慈恵第三病院、今野さん、野口さん、倉方さん…花いっぱいで会場が華やかさに満ちてきた。
道行く人が、「何の店ですか?」と覗いていく。この場は、市民たちとの交流が今までよりずっとオープンになっていきそうだ。大澤さんが早めに到着し、会場の整備をして下さる。「新しく綺麗になったところを見てもらうのだから、台所のザルやボウルは片付けましょう」、なるほど納得。
午後2時、オープニング。部屋はもうお客様でいっぱい。メンバーたちもスタンバイ。まるでラッシュアワーで身動きができないような状態だが、私の挨拶に続き、有光さんのギターと呼吸を合わせ、元気いっぱい「古い木のテーブル」と「不思議なレストラン」の大合唱。不思議なレストランでは、工藤キヨさんと池田和子さんがエプロン姿で踊りも入れて、お客様を和ませてくれた。
松本一郎さんのごあいさつ。27年間クッキングハウスに絵の講師として付き合い続けてくれた。かるたの原画展ができたのも、松本一郎さんのレイアウト・制作のお陰です。
乾杯のごあいさつは、建築士の大澤茂さん。大変な状況の中を、私たちの希望をくみ取りながら、よく完成させてくれました。感謝です。
メンバーを代表して、斉藤さんが、かるた作りへの思いを語る。斉藤さんは4月8日からチャレンジ就労の研修に入るので、スーツ姿も似合うようになってきた。一芸に「紫陽花の花」もうたってもらう。
コバリン(株)部長の山田大聖さんのごあいさつ。復興住宅に取り組んでいて、仙台の仕事で忙しい。大工職人の私の息子が16年間働いているので、建築業界の大変な状況でも引き受けてあげなくては、と思ったといういきさつを話して下さった。地球環境への配慮で、もみがら壁を使ってくれたという。

健康福祉部・部長の吉田さん。キミ子方式の絵を知っておられ、ここで出会えたことも喜んでくださった。吉成さん、前川さん、松本さんと賛助会員のみなさまのスピーチも続く。みんなクッキングハウスの場を愛し、いい場になることを願って下さっている。内藤浩子さんの「ぼちぼち行こか」の歌で、そろそろ閉会に。閉会の一本締めは、鈴木善八郎さん。
本当に、いい会でした。これからこの場で生きる希望を発信していきましょう。たくさんのお祝い、応援をありがとうございます。

〈レストランではメンバー達のパーティー〉
 サンドイッチは、滅多に作らないので、みんな大喜び。「サンドイッチありがとう!!」感激のメンバーの声が飛ぶ。
 ・母がオープニングパーティーに参加してくれました。偉い人ばかりで恥ずかしいと言っていました。SSTを学んできたので、母との関係が良くなりました。(安髙)
 ・両隣に、江田さんと内藤さんの声が良く聞こえ、しっかり歌えました。(伊藤)
 ・あい子さんが調理台の上のコードを引っ張ったので、みんな笑って緊張がほぐれ、リラックスしまし  
  た。(栗山)
 ・うたを気構えず自然に歌えて良かった。あたたかい目でお客様が聞いてくれて、見守られながらやっていくのだと実感が湧いた。(家富)
 ・絵葉書で復興の応援ができることが嬉しい。(堀口)
 ・ティールームに木の香りがして古い木のテーブルのうたによく合っていて美しい。(杉村)
 ・勝手口を出たところが公園で、みんなの控え室になった。吉成さんやお客様が手拍子や足でリズムをとってうたを聞いていてくださって、メトロノームのようで安心した。(有光)
 ・新ティールームの門出に立ち会えて嬉しい。新しいオーブンでチーズケーキを焼きたい。(山根)
 ・サンドイッチ作りが間に合うかな、と心配だったかが大丈夫だった。(中村)
 ・レストランに近くなったので通いやすい。(原)
 ・スタッフとメンバーで協力してリニューアルオープンができて良かった。(今井)
 ・工事中は小さいと思ったが、出来上がってみたら調理台も大きくて良かった。(工藤)
 ・白くて前のティールームより明るくなった。うたっている時、倉方さんから大きな花束をもらいました。(江田)
 ・サンドイッチが美味しかった。(大谷)
〈開店初日〉
 4月8日(火)。たまごの、どんぐり牧場さんから、今、満開の桃の花の大きな枝が届いた。
調布FMの取材の後、すぐに市民の方が放送を聞いたと来て下さる。松本一郎さんが、外看板をプレゼントして下さり、組み立てまでしてくれた。これで通行の市民にもよく宣伝ができるようになった。無事に営業許可も取れました。お客様の多い、活気あるティールームになっていきそうです。



<<ホームへ戻る

<<通信一覧ページへ戻る