クッキングハウスからこんにちは No.198
(記事の一部抜粋)

2021年6月5日発行

 
日帰りバス旅行 無言館へ~命の大切さを考える旅~

5月26日㈬に、長野県上田市にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」に、行ってきました。全員、抗原検査で陰性であることを確認し出発。安心安全である旅を第一としました。バスの中、メンバー達の歌が披露され、心が解放されました。添乗員のたびせんの山田さんも歌って一緒に楽しんでくれました。
「無言館」は、太平洋戦争などで、戦地に駆り出され、命を落とした画家を志した画学生が遺した作品や、絵を描く道具、手紙、戦死公報などの遺品が展示されています。館主の窪島誠一郎さんは、画家の野見山暁治さんと共に全国各地を訪ね歩き、遺族の話を聴き、収集を続けられたそうです。展示されている作品の多くは、家族や故郷の風景などが描かれていました。画学生ひとりひとりの声なき声を感じられたような気がしました。その時を確かに生きて、一生懸命に絵を描かれたことや、戦地に行く前に、その人にとって大切な人や場所への強い思いを絵に託したのではないかと感じました。戦争によって、奪われたものの痛みをとても感じ、平和に暮らしていくことや命を考えるためにも、後世に残していかなければならない大切な美術館なのだと思いました。        (阿部真子)
~みんなの感想より~
◎10年くらい前に無言館に行き、見るのが2回目だが、自分も年齢を重ね、受ける印象が変わった。青年の初々しさを、より感じた。
◎お国のためにと言うが、無駄死にさせてしまった。一人一人の才能を開花させることが本当の国のためになることだと思う。


スペシャル・旅 金子みすゞの詩と故郷を訪ねる旅

山口県仙崎(現・長門市)と下関
何年越しの願いを叶えるためにPCR検査で陰性結果を確かめて、工藤芳弘先生をガイドに金子みすゞの詩と故郷を訪ねる旅に。
1903年(明治36年)4月11日、山口県の小さな港町・仙崎に生まれ育ち、「若い童謡詩人の巨星現る」と西條八十に投稿詩を認められ、たくさんの詩を書きながらも、1926年(昭和3年)26歳の若さで自ら命を断った金子みすゞ。その後、半世紀も世に発表されないまま来たのだが、童謡詩人・矢崎節夫の努力で512編の遺稿が見つかり、1984年、金子みすゞ全集が発行された。ようやく私達は限りないやさしさを表現した、みすゞの弱い者に寄せる詩に出会うことができた。

仙崎の駅前。星とたんぽぽの詩碑が迎えてくれる。懐かしさを覚える小さな漁師町。町筋の突き当りは海。町の家々の軒先には、その家の住人の好きなみすゞの詩が、絵馬のように吊るされている。あらゆる店が軒を連ね、さぞ人々の活気とやさしさがあふれていたことだろう。詩にあるように、大漁の時は鰯の匂いが満ちていたことだろう。この街のすべてがそのままに詩に表現されているから、人々の詩心を目覚めさせてくれたみすゞに共感して、詩を軒先に吊るしているのだろう。
みすゞは20歳で下関に移り住み、親戚の本屋の店員をしながら仙崎での思い出を書き続け、投稿した。そして結婚し、女の子を出産し、愛情いっぱい育てようとしたが、耐えがたい結婚生活の困難にぶつかったのだ。つらい心を慰めるために詩を書かずにはいられなかったのだろう。雨の降る中、みすゞの暮らした下関の町を歩いた。 (松浦幸子)


ビルマの竪琴 観劇

観る度に、涙があふれて本当は大声で泣きたい思いでした。あふれた思いを洗い出したいような。芝居とは、それぞれの観客が抱えてきた、悲しみや怒り、悔しさや喜びを、ふあっと外に出させてくれる役割を持っているのかもしれません。隊長に歌を教わる部隊の、それぞれの兵隊の個性がくっきり表現されていて、一つの家族のように互いを思いやっているところは、文化座の劇団員のみなさんの素晴らしいところです。
「共に生きて日本に帰ろう。そしてまた日本の再建のために働こう。」日本の敗戦、捕虜の身になった時、隊長の呼びかけるこの気持ちを、一つにして歌い続けるその歌声が直接、心の深くに飛び込んできたのです。ビルマの寝釈迦さまと南十字星の十字架、野営の小屋のシンプルさ、舞台の効果も、自分の内面に引き寄せてイメージを深めていくことを、私達観る者にゆだねてくれました。自分の心と、ビルマのジャングルで亡くなってしまった兵隊さん達の魂とが、繋がっていくのでした。人間はいかに生きるべきか。宇宙の中で私達の生命体があるのだもの、もっと謙虚に、自然と素直に付き合って生きていけたらいい。来年はクッキングハウスの35周年。今、みんなで歌づくりをしています。歌いたい思いはいっぱい。ビルマの竪琴の皆さんのように、力いっぱいに歌い切りたいと、多いに励まされました。                                          (松浦幸子)





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