ホーム > 心の居場所(2005年8月号)

当事者はこんなに家族を愛している
〜家族は生きる希望です〜

暑い夏です。お元気でいらっしゃいますか。クッキングハウスは今、8月26日27日の憲法フォークジャンボリーに向けて、ピースケーキに焼印を押してみたり、ハスの実を入れて焼いてみたり試作品をつくっては、どうしたら平和への思いが伝わるか思案の真最中です。うたを練習したり踊りに振りをつけたり、夏祭りとしても楽しみたいと思っています。上野水上音楽堂でお会いできたら嬉しいです。

 この暑さの中、家族SSTには家族の方々が遠方から集まって下さり、真剣に学び合っています。8月9日(火)は6人のメンバー達が家族への思いを、心をこめて語りました。

「つらい時に、家族がしてくれたことで嬉しかったことや不安になったこと」「家族とはどんな関係でいたいか」をそれぞれの体験で話してくれたのです。

「私の妄想がヤクザに殺されると思ってひどい時、姉は私を守ってくれて、小さな声で答えてくれた。電話で不安を訴えると、いつも話を聴いてくれる。

娘は小学校5年生だった。食事の支度もできず、ただ寝ている母を見てつらかったと20才になった今話してくれた。その娘も私に負担をかけまいと自立して働き、時々やってきては、私の作ったものを全部平らげて帰っていく。私はずいぶん回復し、やっと食事の支度ができるようになった。」

そう語った池田和子さんは「娘よ」という歌を、やさしくうたってくれました。家族への愛情が、素朴に伝わってきて、泣けてしまいます。

木村早苗さんも自分の気持を素直に語りだしました。「仕事のストレスから、生きていくのが面倒になり、クスリをのんだり、包丁をお腹に刺して死のうとした。姉がみつけて病院に連れていってくれた。

精神科の病院だったのでびっくりしたが、年とった母を安心させるために、治らなければと思った。

病院のワーカーに作業所に行ってみないかといわれ内職仕事をしている暗いイメージがあり、嫌だったが、治るために通ってみようときたらクッキングハウスのレストランで、以前7年間食堂で働いていたので、私もできると思った。

ここまで回復するのに10年かかりました。必ず回復します。でも時間がかかります。あせらないでゆっくり見守っていてほしい。どこかに行こうと誘っても治りません。無理に連れ回さないで下さい。

よく、話を聞いてあげて下さい。そしてうまく距離をとって、目は離さないでいてほしい。」説得力があり、みんな集中して聞いています。

斉藤敏明君は「5年間引きこもって死にたいけれど死ぬ勇気もなくあまりにもつらくなって母に話したら、よく聴いてくれた。そしてクッキングハウスに連れてきてくれた。SSTや、メール便の仕事で人とのコミュニケーションが楽になってきた。

ずっと父との関係が悪く、食事も別々だったのだが、父が「無理解をなくそう統合失調症」を読みわかってくれたのか、「元気にやっているか。」と聞いてくれるようになった。

60才すぎた父に心配かけたくないなと、父の誕生日に、父の好きな鉄道の本をプレゼントした。僕も父も、照れてしどろもどろだった。このことがきっかけで、良い方向に変われるんだ、成長できるんだと希望がみえてきた。ようやく楽しく生活ができるようになってきた。母の誕生日が10月なので母にもプレゼントしたいと思っている。

この話のあと、斎藤君は母の好きな花を買って、気持ちを言葉にして添えて贈る場面をSSTで練習し、良かったところをほめてもらいました。

こんなに家族のことを思っていてくれていたんだ!!家族の皆さんの心もほぐれ、子どもといい関係をつくれるかもしれないという希望が見えてきたのです。

2時間20分煙草にも立ち上がらないで、仲間の話を聴き、家族の質問にもこたえているメンバー達に私はとても誇らしい気持ちになりました。みんな素晴らしいリカバリーの道を歩んでいます。
(松浦幸子)

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