ホーム > 心の居場所(2019年10月号)

第10期 メンタルヘルス市民大学 開講
弱さに寄り添うということの意味



厳しかった夏が去り、ようやく秋となりました。
皆さま、お元気でいらっしゃいますか。
台風の被害に遭われ、まだ電気も復活していない
不自由な生活を余儀なくされておられる皆さま、
心からお見舞い申し上げます。
どうか、一日でも早くいつもの生活が戻るようにと、
祈るばかりです。

クッキングハウスでのメンタルヘルス市民大学も、
今年で第10期を迎えています。
どうしたら誰もが心豊かに生きていける社会になっていくのか、
希望が持てる学びにしていきたいと、毎年テーマを深め、
共に学び合ってきた貴重な歴史です。

学ばなければ、私たちは無理解と偏見のままに
人を差別することになります。
競争ではなく、助け合って学ぶことから、真実を理解し、
相手の気持ちに寄り添って、
相手を尊重していく人間関係をとることができるように
なるのではないか、ということに希望のあかりを求め、
積み重ねてきたメンタルヘルスの学びです。

今年のテーマは「弱さに寄り添うということの意味」。
“寄り添う”という言葉は、簡単に使われますが、
人に寄り添える自分になりたいと思うと、
相当な葛藤も生まれ、苦しいものです。
「この方法がいい」という自分の思いだけが先行すると、
かえって相手を緊張させてしまったり。

1982年、精神科のソーシャルワーカーになり、
1987年にクッキングハウスを開設してから
現在まで私のやってきたことは、
つらさを抱えている人たちに寄り添うということでした。

あまりにも大変な状況に直面している家族や当事者に、
一体何ができるのだろうと、
為すすべもない自分の無力さを嘆きながら、
ただオロオロと一緒に苦しみながら、そばにいる日々でした。

誰か自分に寄り添ってほしいと願う人も、
「自分が人生の主人公」という意識をしっかり持っていないと、
寄り添ってくれる人との距離が上手くとれず、
苦しくなることもあります。

お互いを尊重し合いながら、
お互いの弱さに寄り添い合えたら、
私たちはもっと心を自由にして生きていけるでしょう。
一緒に学びたいです。                        

(松浦幸子)